冒頭のサビ(♪ しなやかにうたって・・・)の部分、メロディーラインにオクターブの下降や、3連続の半音上昇を含んでいるのは、かなり奇抜。でも、一度聴いたら忘れられないところに、宇崎竜童氏の作曲センスを感じます。

もう一つ面白いのは、サビ、Aメロ、Bメロ・・・のコード進行がほとんど同じこと。これは、機櫚m7−7−気鬟戞璽垢謀験される一種のオスティナート(ostinato)とも言えるでしょう。

同じパターンを繰り返されても退屈しませんし、聴き進むにつれ高揚感すら沸いてくる・・・不思議ですね〜。実はそこに編曲:川口真氏の職人技が隠されているんです。

川口氏は、長く歌謡界で活躍している作編曲家で、代表作に「手紙(由紀さおり)」、「他人の関係(金井克子)」、「嫁に来ないか(新沼謙治)」、「弟よ(内藤やす子)」等があります。どれも昭和の名曲ですね。山口百恵で言えば、大ヒットした「いい日旅立ち」も氏の編曲です。(作曲:谷村新司)


川口真作品集~手紙

話を戻しましょう。「しなやかに歌って」の編曲(アレンジ)のツボは、ズバリ、

1.随所に挿入される経過和音(passing chord)
2.リズムの変容(シンコペーションとポリリズム)
3.とどめの転調

の3点です。

1.随所に挿入される経過和音(passing chord)

この曲が、機櫚m7−7−気鬟戞璽垢謀験される一種のオスティナート(ostinato)であることは述べました。でも、あからさまに同じコード進行を繰り返しても退屈するだけ・・・そこで、アクセントとして経過和音(経過音)が随所に挿入されています。

しかも、その位置を微妙に変化させるという念の入れよう・・・サビ(1小節4拍目)、Aメロ(3小節3拍目)、Bメロ(2小節4拍目)。加えて、Aメロのm7ベース音を気箸垢襪海箸如△茲螢丱螢─璽轡腑鵑効いてくる・・・さすがです。

2.リズムの変容(シンコペーションとポリリズム)

今度はリズム面です。サビ、Aメロでは表拍(強拍)主体のリズムでですが、Bメロではとたんに裏拍が強調されます。伴奏が一斉にシンコペーションすることで、バリエーションが引き立ちます。

さらに、Cメロ(♪ レコードが廻るだけ〜)では、4拍子×2の長さを、ベースとドラムが3拍子×2+2拍子のポリ(複)リズムとして奏されます。レコードが目の前で廻っているかのような不思議な感覚がしませんか?(アナログ世代だから?)

3.とどめの転調

最後は、お決まりの転調で盛り上がります。トニック(主音)を半音引き上げて1回だけ、しつこくないのが良いですね。

いかがでしょう、ちょっと難しかったですか?。でもこういったアレンジのツボを押さえると、楽しみ方が増えてきますね。

ところで、この曲にはもう一つのアレンジが存在します。「コンプリート百恵回帰」に収録されているバージョンで、萩田光雄氏の編曲です。聞き比べてみては・・・


コンプリート百恵回帰



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