Never Again 許さない

僕がこの曲を初めて聴いたのは、「許さない」というアルバムに入っていたバージョン。ライナー・ノーツで、これがセルフ・カバーだと知り、その後オリジナル版(1979年)に至りました。

ミディアム・テンポでしっとりと唄い上げるカバー版に対して、オリジナル版はテンポが速く、ギター・ピッキングも忙しげに感じたけど、聴き込むうちに「これが正解」と思うようになりました。それは、詩の内容にあります。

春おぼろ 作詞:山上路夫

若い恋人同士が結ばれたいと焦る一方で、それにブレーキをかける親の存在・・・思うようにならない状況は、「もう(六分咲き)」と「まだ(早い)」のコントラストに象徴されます。「家を出る」という無謀な選択も、切羽詰まった心情をよく表していて、「前のめりな焦燥感」が全体のトーンになっています。

音楽の方も、前のめり(=早めのテンポ)、焦燥感(=音数の多いピッキング)で見事に呼応。また、リード・ギターは「春霞み」を表現しているようにも聴こえます。そして極めつけは、最後の「春おぼろ」のフレーズ。

この出だしは、ちょっと微妙。よく聴いてみると、「はる〜」は小節(4/4拍子)の4拍目から始まり、次の小節(2/4拍子)の1拍目は休符。2拍目に「お〜ぼ」がきて、「ろ」で元の4/4拍子に戻っています・・・(わかります?)。

ポイントは2/4拍子の小節の強拍(1拍目)であえて休止している点。これは意図的に拍節感を薄め、覚束(おぼつか)ない雰囲気を作ろうとしたのでは?・・・と。なにか筒美マジックの一端に触れたようで、とても興味深かったです。


岩崎宏美 - GOLDEN☆BEST

PS)
「許さない」には「春おぼろ」のライブ・バージョンや、「想い出の樹の下で」「女優」の別バージョンも入っていて一聴のアルバムです。