秋も深まる時期になると、やたら心に染みてくる唄があります。例えばこの「古いお寺にただひとり」(1972年発売)。チェリッシュ4枚目のシングル曲ですが、リリースが「ひまわりの小径」と「若草の髪かざり」に挟まれたためか大ヒットには至りませんでした。



確かにコードはよくあるフォーク調、メロディーは地味といえば地味。だけど聴き込むにつけ味わい深くなるのは、歌詞やアレンジを含めた楽曲全体が上手く統合されているからかな・・・と。

古いお寺にただひとり  作詞:山上路夫

迷いを抱いて、一人古都に佇む主人公。その心境は、イントロの10小節に見事に表現されています。ポイントは通奏低音(ペダル・ポイント)と減七和音(ディミニッシュ・コード)。緊張度の高い和声が、この楽曲の雰囲気を決定付けていると言えるでしょう。

加えて、冒頭の16分刻みのザワザワしたパッセージが、曲の随所に登場し不安感を煽ります。実に上手いアレンジなので、編曲者を調べてみると青木望氏でした。

氏の編曲には、雅夢の「愛はかげろう」や丸山圭子の「どうぞこのまま」等多数あるようです。またじっくり聴いてみよっと・・・。