この曲は"アルペジョーネ"という楽器のためにシューベルトが書き下ろしたもので、正称は「アルペジョーネとピアノのためのソナタ」。現在はチェロやヴィオラで代用されることが多いのですが、では"アルペジョーネ"とは一体どんな楽器なのでしょう?。

まずは一般的な、チェロとピアノによるアンサンブルでお聴き下さい。



チェロ奏者はユンソン・ホン(Eun-Sun Hong)。艶やかな音色と確かなテクニックにぐいぐい惹きこまれます。この曲の完成はシューベルトが亡くなる4年前の1824年。心身を患っていたとされる晩年の作品にありがちな"暗さ"を感じさせない、明朗で素直な解釈にも好感が持てます。



さて、オリジナル楽器の"アルペジョーネ"ですが、この曲の完成と同じ頃にウィーンで発明された6弦の楽器とのこと。ギターと同じくフレットを持つので"ギターチェロ"とも呼ばれましたが、普及せずに忘れられた存在になったそうです。

でも"ギターチェロ"ってどんな音色で、どんな弾き方をするのだろう?、また、シューベルトはこの曲にどんな響きを想定していたのだろう?。興味津々になっていたところ、アルペジョーネを現代に復元し、それを使って「アルペジョーネ・ソナタ」を演奏している映像を見つけました。



奏者はニコラ・デルタイユ氏。最初はテンポがかなり遅いと思ったのですが、独特の渋い音色を聴いているうちに気にならなくなりました。フレットがあるせいでポルトメントが効かないのかも?。先ほどのチェロの演奏とは違って流麗さには欠けるけど、"枯淡"の味わいがあります。

作曲当時のシューベルトの心境も、この音色のようだったのかもしれません・・・。