今回は、ヴァレンティーナ・リシッツァというピアニストをご紹介。Youtubeに公開されている動画から、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」の第3楽章です。



路上でアップライト・ピアノを演奏するストリート・パフォーマンス。クラシック音楽は静粛なコンサート会場で、一段高いステージ上から弾くものという固定概念を払拭するような映像です。

しかも、この演奏のドライブ感が凄い。中期ピアノ・ソナタの傑作と言われ、綿密な構成と半端なく音数の多いこの曲を、今音楽が生まれたかのような即興性で魅了してくれます。ただガンガン弾くのではなく、左右のポリフォニーをしなやかに扱っているところが推進力の源でしょうか?

また、この演奏で感じたのはベートーヴェンの音楽に内在する強さ。雑踏の中、群集にまみれてもパワーを発揮できるクラシック音楽は、ベートーヴェン意外には見当たらないのでは?。結局、そこが彼の音楽の偉大なところなんでしょうね。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」他


ところで、この方の他の演奏として、J.S.バッハの「シチリアーナ」(BWV 1031)を埋め込んでおきます。先ほどの熱情とは打って変わったような敬虔な演奏ですが、案外これがリシッツァというピアニストの本質ではないかなと。いかがでしょうか?



こちらは、ミニマル・ミュージックの代表格、マイケル・ナイマンの作品集


ピアノ・レッスン〜リシッツァ・プレイズ・マイケル・ナイマン