椎名林檎というアーティストは気にはなっていたものの、自分の中ではなかなか評価の定まらない存在でした。

個性的な歌詞とメロディーに、アクの強い歌唱とパフォーマンスが相まって、独自の音楽ワールドを形成しているのは認めるところですが、椎名林檎を一人のアーティストとして味わってみても、どこか物足りなさを感じてしまうのが正直なところ。

でも最近気付いたのは、この人の魅力はシンガー・ソング・ライターであること以上に、プロデューサーとしての才覚にあるのでは?ということ。他のアーティストを巻き込んで作品を昇華していく能力は、オーガナイザー(主催者)やファシリテーター(促進者)に通じるのかもしれません。

今回は、稀有なプロデューサーとしての"椎名林檎"を検証してみたいと思います。

1.「りんごのうた」にみるプロデューサーの資質


まずは,「りんごのうた」(2003年発表)から。


この曲の作詞作曲は椎名林檎で、編曲は服部隆之。注目すべきは、楽曲の隅々にまで行き渡った絶妙なアレンジで、編曲者の鮮やかな手腕が際立つ作品だと思います。

服部隆之は言うまでも無く、後に"のだめカンタービレ"や"半沢直樹"などのサウンド・トラックを担当し、今や押しも押されもせぬ音楽監督の第一人者。この「りんごのうた」はNHKの"みんなのうた"で放送され、その粋を凝らしたアレンジは万人の知るところとなりました。

尚、プロデュースは井上雨迩となっており椎名本人ではありません。が、椎名の作品自体に、何か他のアーティストの関与を促し相手を惹き立てる"不思議な力"が働いている気がしてなりません。まず、これが資質の部分。


ニュートンの林檎 ~初めてのベスト盤~

2.大御所をプロデュースした「X -Cross II」


次は昨年(2014年)に発表された、石川さゆりの「名うての泥棒猫」と「暗夜の心中立て」。ここで椎名林檎は作詞作曲に加え、プロデュースも担当しています。(アルバム「X -Cross II」に収録)





いかがでしょう・・・?、大御所を相手に見事なプロデュースだと思います。しかも、石川さゆりというフィルターを通すことによって、椎名林檎の世界がより効果的に打ち出されているところが凄い。僕はこの作品を聴いて、彼女のプロデューサーとして力量を確信した次第です。

NHK "SONGS"では二人の共演が実現していますので、是非こちらもご覧下さい。

"名うての泥棒猫"/サユリンゴ (石川さゆり×椎名林檎) (Youtube)
"暗夜の心中立て"/SAYURI (石川さゆり) (Youtube)

次はどんなプロデュースを見せてくれるか、楽しみになってきました・・・。


石川さゆり/X -Cross II

3.椎名林檎プロデュースの決定版〜「獣ゆく細道」


・・・と書いてから4年、椎名林檎プロデュースの決定版とも言うべきライブ映像がアップされました。エレファント・カシマシの宮本浩次とコラボした「獣ゆく細道」は、静と動、美女と野獣を具現化したような一大パフォーマンスです。


いや、参りました。


(生)林檎博'18-不惑の余裕-