あれは今年の5月だったか?・・・、テレビのスイッチを入れると、たまたまNHKの音楽番組が映し出され、小柄な女性の圧倒的な歌唱力に釘付けになりました。それが、"Superfly"というグループの「Beautiful」という曲。 


作詞作曲は、このグループでヴォーカルをとる越智志帆(作曲は蔦谷好位置との共作)。まず感じたのは、歌詞の中に「私」という言葉が頻繁に出てくることです。自作の詞なのだから当然と言えばそうなんですが、最近の音楽の中では何故か新鮮に感じたんですよね・・・。

Beautiful:歌詞(うたまっぷ.com)

で、いろいろ調べてみて分かったのは、2000年以降のヒット曲では「私」という一人称はあまり使われていないという事実。じゃあ、何が使われているかというと、一人称が「僕」で二人称が「君」。(売れている曲の歌詞内で使われる一人称・二人称は時代ごとに変化しているのか? より)

特に2010年の年間シングル・ベスト10の調査では、10曲中6曲が「僕・君」のセットで、「私」を一人称にした曲はゼロ(下注)。吉田拓郎の「私は今日まで生きてみました・・・」といった歌詞を聴いて育った自分にとっては、世相の移ろいを感じざるを得ません。

なるほど!、こういう背景があったのか・・・と妙に納得した次第。冒頭に書いた"圧倒的な歌唱力"の源泉も、声量・音程・抑揚といった技術的なことではなく、自作の曲にメッセージを込め、「私」という一人称で歌い上げている確信の部分が大きいのだと思います。

今は、企画仕掛けのアイドルグループが全盛の時代。誰かに歌わされ、踊らされているアーティストが多い中、真っ当なアーティスト・イズムの逆襲を見た思いがしました・・・。

注)ちなみにこの年は、AKB48と嵐がチャートを独占。


beautiful