今回のお題は1998年にミリオンセラーとなった、ブラックビスケッツの「タイミング~Timing」。ブラックビスケッツとは、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」というバラエティ番組内で結成されたグループで、「タイミング」はそのセカンド・シングルです。

BLACK BISCUITS/Timing(Youtube)
作曲:中西圭三&小西貴雄 作詞:森浩美&ブラックビスケッツ
収録アルバム:LIFE


メロディー・アレンジ・歌唱とも抜群で、20年経った今聴いても刺激的なヤバイ曲。特にサビ(Cメロ)の突飛な転調は、"ズドン"と異空間へワープしたような感覚に陥ります。

という訳で、この転調ってどうよ?・・・と気になり分析してみました。Pinkishによるカバー・バージョン(2012年)を埋め込んでおきましたので、オリジナルと合わせて聴いてみて下さい。



1.タイミングのコード進行


まずは、この曲のコード進行から。(詳細なコード進行と歌詞はコチラ

繰返し コード進行
Aメロ ×2  Cm B♭m7 A♭M7 G7
Bメロ -  Fm7 B♭6 Gm7 Cm Fm7 B♭6 Gm7 G7
Cメロ ×2  E♭m7 A♭m7 D♭7 G♭

ダイアトニック(音度表記)に変換すると、次のようになります。

Key ディグリーネーム
Aメロ Cm  機´m7 M7 7
Bメロ E♭  m7 6 m7 m m7 6 m7 7
Cメロ G♭  m7 m7 7 

2."ズドン"な転調の正体


AメロとBメロのキーは平行調の関係にあり、BメロからCメロへは短三度上の転調になります。後者はE♭とE♭mの同主調関係をブリッジにした転調として一般的なのですが、問題はそのつなぎ方。

それは、Bメロ最後のG7からCメロ最初のE♭m7への部分。G7はCmのドミナントセブンなので、Key=Cmへの転調(復帰)を予告をしているはずなのに、Key=G♭の困砲△燭E♭m7に突入しています。このG7からE♭m7への接続は、理論的にはありえません。

これが前述した"ズドン"感の正体なのです。


タイミング/Pinkish(Single Maxi)

3.何故この転調だったのか?


では何故、作者はこの転調を選んだのでしょうか?。試しに、転調をしないコード進行を考えてみました。

Key コード進行
Cメロ E♭  Cm7 Fm7 B♭7 E♭ ×2

確かに流れとしてはスムーズですが、どうも平坦すぎて面白みに欠けます。すでに原曲を聴き知っているからかもしれませんが、何かこの歌にそぐわない感が・・・。その原因は、Cメロの歌詞にありそうです。

ズレた間の悪さも、それも君のタイミング ・・・

つまり「ズレた間の悪さ」を表現するために、あえてこの転調を使ったのでは?・・ということ。あるいは、Bメロ最後の「ら〜」からCメロ冒頭の「ず」へのメロディの接続を半音下にズラした結果が、この転調だったのかもしれません。


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では、メロディーを半音上にずらしていれば、どうなったでしょうか?。この場合、Key=E♭の下属調にあたるKey=A♭への転調となります。

Key コード進行
Cメロ A♭  Fm7 B♭m7 E♭7 A♭ ×2

これも平穏な転調で、「ズレた間の悪さ」を表現しているとは言えません。 つまりKey=G♭への転調はこの曲にとって必然であり、ゆえに説得力を生んでいるのでしょう。

4.ビビアン・スー・バージョン 〜 むすび


ちなみに、ビビアン・スーが2011年に発表した「タイミング」のスロー・バージョン(時機)でも、この転調は継承されています。それどころか、Cメロの一部をイントロに使っているので、Aメロでいきなり"ズドン"と落とされますね。

徐若瑄(ビビアン・スー)/時機〜Timing(Youtube)

結局のところ、この曲と"ズドン"な転調は相思相愛の関係にあるのでしょう。作者の周到な仕事に「あっぱれ!」・・・です。


Natural Beauty/ビビアン・スー(MP3)