先日ネット上で、「ホテル・カリフォルニアのイントロのコード進行は、理論的にどう説明できるのか?」という話題を見かけました。結論を言えば、これは反復進行(ゼクエンツ)というものなので説明したいと思います。

1.ホテル・カリフォルニアのコード進行


イントロのコード進行はBmから始まる8つのコードから成り、それを音度表記したのが下表です。+犬蓮∨寨茵淵泪ぅ福璽好院璽襪砲いては)マイナーコードであるはずの検Em)がメジャーコード(E)になっていることを表します。

これを、トニック(T)、ドミナント(D)、サブドミナント(S)で分類したのが次の機能欄。先頭のTと最後のS、Dでカデンツを形成しているのは明らかですが、問題となっているのは、2個目のF#7から6個目のDまでの部分。

コード Bm F#7 A E G D C#m F#7
音度 +
機能 T この間のT,D,S機能が不明 S D

つまり、この間のT、D、Sによる機能分類が困難なために、それに替わる理論的な説明が求められているという訳です。では、反復進行ではどのように説明できるのでしょうか?


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2.反復進行(ゼクエンツ)とは?


反復進行とは、一組のコードパターンを一定の度数だけ上方または下方に移動しながら反復する進行のことです。ホテル・カリフォルニアのイントロでは、冒頭のBmとF#7を一組のコードパターンとし、これが下方に2度移動しながら繰り返されていると考えます。

コード Bm F#7 A E G D C#m F#7
音度 +
内部音度 - -
反復音度 0 -2 -2 - -
機能〔帰后佑魏縞に2度移動させた反復進行 S D

この時、一組目の内部音度差(上方5度)は維持されたまま反復されるので、二組目は擦函椨検∋袷般椶廊困鉢靴砲覆蠅泙后犬"+"となるのは、擦離好院璽襦Aメジャースケール)からみた5度上のコードが"E"になるからです。

そして重要なことは、反復進行を形成する各コードは通常の和音機能(T、D、S)から解放され、反復進行の遂行のための役割を果たすということ。T、D、Sの機能だけでは説明がつかない理由がここにあります。


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3.クラシック音楽における反復進行 〜 カノンの場合


ところで、このような反復進行はクラシック音楽(特にバロック期の作品)ではよく使われています。そこで同時期の有名曲であるパッヘルベルの「カノン」をとりあげ「ホテル・カリフォルニア」と比較してみたいと思います。

なお参考として、DEPAPEPEによるカノンの演奏をリンクしておきました。アレンジ・バージョンではありますが、アコースティック・ギターによる演奏なので、ホテル・カリフォルニアとの比較がしやすいと思います。



カノンでは気5度上行したVが一組となり、それを下方に3度移動しながら反復進行し、/V(S)から后D)を経て機T)に戻ります。このコード進行は俗に「カノン進行」と呼ばれていますが、実は反復進行の一種に他なりません。

コード D A Bm F#m G D Em/A A
音度 /
内部音度 - -
反復音度 0 -3 -3 - -
機能〔帰后佑魏縞に3度移動させた反復進行 S D


4.ホテル・カリフォルニア vs カノン


これをホテル・カリフォルニアの反復進行と比較したのが次の表です。

ホテル・カリフォルニア カノン
共通点 内部音度は上行5度(帰后
反復は2回、最後にS→D→Tのカデンツを形成
相違点 キーがBm
下方2度で反復移動
キーがD
下方3度で反復移動

いかがでしょうか?。こうやって共通点を洗い出すと、上記の2曲が(長調と短調の違いはあれど)似通って聞こえるのが不思議です。偶然でしょうが、両者のキーが平行調の関係であることも影響しているのでしょう。

1976年の大ヒット曲(ホテル・カリフォルニア)と1680年頃の作品(カノン)は、300年の時を超えてつながっているということでしょうか?。まさに、悠久のゼクエンツ(反復進行)ですね!


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